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2024/08/09 18:35


こんにちは、徳地米りんりんふぁーむです。

今回は、日本農業新聞を参考に2024年に「お米が不足している理由」についてわかりやすくお伝えしてまいります。

 

 

 

 1. 天候の異常

 

過去5年間の夏の天気を振り返ってみると、2018年、2020年、2023年の夏は非常に暑く日本各地で猛暑日(35℃以上)が観測され、2023年の夏は過去最高気温を記録しました。

全国的に平均気温が平年を大きく上回り、各地で猛暑日が頻発。

 

特に7月から8月にかけては、太平洋高気圧とチベット高気圧の影響で高温が続き、多くの地域で35℃を超える日が続きました。この頃は私の地域では早稲品種コシヒカリやひとめぼれの「出穂(稲の赤ちゃんが出てくる頃)」で悪影響をもたらしました。

 

6月下旬から7月中旬にかけて、梅雨前線の影響と台風第2号の接近により、西日本を中心に大規模な豪雨が発生。

熊本県や福岡県などでは河川の氾濫や土砂崩れが相次ぎ、多くの家屋やインフラが被害を受けました。

 

記憶に新しい2023年元日、また5月5日には石川県能登半島沖でマグニチュード6.5の地震が発生し、石川県内で家屋の倒壊や土砂崩れが報告されました。

 

2023年の夏は、記録的な猛暑や豪雨、台風、地震といった自然災害が次々と発生し、多くの地域で生活に大きな影響を与えました。

 

このような悪天候により田んぼが水浸しになり、稲が倒れるなどの被害も発生しました。

もし稲が土まで倒れてしまうとお米に石が混ざってしまい売り物にはなりません。

稲は太陽の光をたくさん浴びて育つ作物なので曇りや雨が続くと十分に成長できません。

 

逆に異常な暑さも苦手です。

昨今、熱中症による救急搬送が増加し健康被害が深刻化していますが、これはお米も人間と同じです。

 

稲は昼間にたっぷりと太陽の光を浴びて、夜間に気温が下がることで生成された養分が効率良く穂に巡ります。

これにより穂がすくすくと成長し、元気に大きくなります。

よって夜間に気温が下がらず熱帯夜が続くと、“高温障害”が起こり、登熟不良・白未熟米・着色米・穂発芽などの玄米品質の低下の原因になり、大幅な収穫量低下に繋がります。

 

 

 2. 世界情勢の影響

 

世界では、戦争や紛争が続いており、食料が不足している国々が増えています。

これらの国々に対して日本からも米を支援する必要があり、そのため国内の米の供給が減少しています。

特に、ウクライナなどの地域での紛争は現在も食料供給に大きな影響を与えています。

 

 

3. 燃料価格の高騰

 

お米を作るには、トラクターやコンバインといった農業機械が必要です。

そして、これらの機械を動かすためにはガソリンや軽油が必要ですが、今年は燃料の価格が大幅に上がっています。

燃料が高くなると、農業機械を使うコストも増え、その結果、お米の生産コストが上がります。

これにより、米の供給量が減ってしまいます。

 

 

4. 労働力不足

 

農業分野では、特に若い世代の労働力が不足しています。

私の地域でも高齢化真っしぐらでメインでお米を作っている方は70〜80代です。

次世代の方は、ほとんどが山口県外や山口市外に住まれており、この地域に戻ってくることは無いと言い切ります。

 

近所の農家のおばあちゃんたちとの会話で忘れられない話があります。

 

「私たちね、息子にはしっかり勉強をして、少しでも良い学校に入って、良い会社に勤めて欲しい!そう願って育てたの、そしたら出て行ったっきり戻ってこなくなってしまったんよ。だから私たちが間違ってたよね」

 

この地域では、確かにおじいちゃんたちの息子世代にあたる60代の農家の方はあまりいません。

みなさんよそで家を建て、年に数回帰ってくれば良い方で、誰も帰ってこないお宅もあります。

 

このように農業を手伝う若い人たちが少なくなっているため、田んぼの管理や収穫が十分にできない状況です。

重労働も多く機械が壊れるか、体が壊れるかのタイミングでみなさん離農されます。

残念ながら日本中の各地でこの問題は起こっていることと思います。

 

 

5. 農業資材の価格上昇

 

お米を育てるためには、肥料や農薬が必要です。

田んぼの修繕費や、機械設備の維持費、なにからなにまで価格が上がっています。

肥料や農薬の価格が上がると、それを使って育てるお米のコストも増えます。

このコスト増加が、米の供給減少の一因となっています。

 

では、米不足に対して日本政府はどう対策しているのか?

 

 

1.  備蓄米制度

 

政府は一定量の米を備蓄する制度を設けています。

これにより、天候不順や自然災害などによって米の生産量が減少した場合でも、備蓄米を市場に放出することで需給バランスを保つことができます。

日本は備蓄米が本当に少なすぎます。中国では万が一の食糧危機があっても国民一人あたり300日以上はお米を食べられるのに対して、日本は2ヶ月と持ちません。すごい差ですよね。

自分の身は自分で守らないといけないのかも知れません。

こちらについては語りたいことがたくさんあるので別の機会にお話しします。

 

 

 

2.  輸入米の確保

 

米の不足が予想される場合、政府は輸入米の確保を進めています。

主にアメリカやタイなどからの輸入米が考えられ、日本国内の需要に対応します。

と政府は言っていますが・・・。

国内でどうにかできるのにわざわざ海外に頼るのは国民にとってマイナスでしかないと思います。

こちらについてもまたお話ししようと思います。

 

 

3.  生産調整(減反政策)

 

 過去には米の過剰生産を防ぐために減反政策(お米を作る量を減らすようにと国からの指示)が行われていましたが、現在は需要に応じた生産調整が行われています。

 

 

 

4.  補助金・助成金の提供

 

 農家に対して高温障害や自然災害による被害を補填するための補助金や助成金を提供し、農家が経済的に安定して米の生産を続けられるように支援してくれています。

少額ですがありがたいので私も都度申請してしていますが、正直なところ申請書は誰にとっても見易いものではなく、申請が煩わしく諦める方も多い印象です。

 

例えば、山口市のがんばる補助金なんかは、決まった日に市役所に向かい開庁の数時間前から並んで、順番待ちをします。簡単な面談をして書類を提出しなければならず、一番忙しい5月の貴重な朝なのでとても大変です。

早くオンライン手続きを取り入れてほしいものです。

 

 

5.  技術支援と研究

 

各県地域に合わせて高温障害に強い稲の品種改良や栽培技術の開発を進めています。

これにより、異常気象や気候変動に対応した安定した米生産が可能になります。

 

私たちも高温障害に弱くリスクの高い早稲品種の栽培を年々減らしており、暑さに強いきぬむすめを増やしています。来年はさらに暑さに強い品種も新たに仲間に入れようかと検討中です。

このように作付を分散させることで、労力も分散させることができ、災害や害虫被害なんかも分散させることで全体的なリスクを分散することができます。投資なんかと同じくリスクマネジメントが大切です。

 


 

最後に・・・

 

みなさん、田舎に行くと農家にはお米はありますよ。安心してください。

 

そしてスーパーのお米には美味しくない理由があります。

 

ぜひ応援したい農家さんを見つけていただいて、農家さんから直接購入されることをお勧めします!

 

私はお買い物は選挙だと思っています。

生き残ってほしい!頑張ってほしい!と思える方の商品を半分は寄付の気持ちで買っています。

なるべく野菜は直売所で、スーパーでは山口県産や国内産のものを必ず買います。

 

直売所の野菜は翌日には破棄されるのをご存知ですか?

それだけ新鮮で農薬の少ないお野菜が多いのです。

 

少し脱線しましたが、私たちは私たちを選んでくださった方々のために今日も頑張りたいと思います!

お米も実りだんだんと重みで下を向いてきています。

8月末か9月頭頃には刈り取れる予定です。

わくわくな気持ちもありますが、台風と害虫ウンカにやられませんように!

 

最後まで読んでいただきましてありがとうございました!次回の投稿もお楽しみに!


 

徳地米りんりんふぁーむ